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小田原プラットフォーム構想!?

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2020年7月神静民報「小動だより」

 

それは「新聞記者になりたいんですよねぇ」から始まった

 まだ梅雨があけない7月26日、LIVE配信された「小田原100人カイギ」。ゲストは、前小田原市長の加藤憲一 さん、慶應義塾大学経済学部教授で財政社会学者の井手英策さん、テレビ東京勤務で作家の後藤達哉さん。部屋の片付けをしながらラジオを聞くように音を流し始めた。
 いろんな話が出る中で、急に「あの、僕今、自分の夢を語ってもいいですか?」。その声はもしや井手教授?40歳を超えた大人の口から夢っていう言葉、マジで新鮮だし、カッコいいぞ!その夢は、「新聞記者になりたいんですよねぇ」。「えっ?」

「井手教授、あなたの夢を私たちみんなの夢にさせてください!」
「新聞記者になりたい」とは、つまりこういうことだ。
 やりたいことをやっている人たち、農業でも環境でも福祉でも経済でも、そういった人たちを取材して、「こんなことをやっている」ということを伝えるプラットフォームを立ち上げたいということだ。例えば、農業の人が福祉の人の記事をみて、「この人と一緒にやれるなっ」と思ったりできるような出会いの場だ。ゲスト2名も、聞いている人も、井手教授の夢に賛同していた。

 私たち小動メンバーもそんなプラットフォームをやりたいと思っていた。まずはこの「小動だより」で、取材して書ききれなかったことを発信したい!という思いがある(特に目黒さんは、たくさん記事を書いているので、その思いが強い)。
 あと、私の勝手な思いで、「あしがら農の会」の会報誌「あしがら農の会通信」がめちゃくちゃ大好きで、これをぜひ西湘の人とか限らず、多くの人たちに読んでもらいたいという欲求がある(私は大豆の会の幽霊会員)。
 「あしがら農の会通信」に出会ったのは、なんくる農園さんのお野菜を取り始めたとき。大切に育てられたお野菜とともに一枚ペラリ入っているのがこの会報誌だ。両面ぎっしりと埋められた文字、無駄のない割付。視覚的にも印象に残る1枚で、その紙の多くを占める手書きの文字の羅列がなんだか美しく、これ自体がアートと思えてしまうほどの逸品だ。そして、それぞれに書かれたコンテンツが非常に興味深いし、考えさせられる内容も多い。
 アート作品として、この形そのものをデジタルアーカイブはもちろん、やっぱり文字もテキスト化したい。テキスト検索性を上げると、その分野に興味ある人の目に止まる確率も上がる(2020年時点)。僭越すぎは承知だか、どうしても「あしがら農の会通信」を多くの人の目に触れるようにしたいという衝動がとまらないのだ。

 「取材したい」でいうと、先日お会いした方は、南足柄で日本みつばちを育て、日本みつばちからハチミツをいただいている(セイヨウミツバチの養蜂とは違う)。その方いわく、日本みつばちだけでなく、それまでやってきた耕作放棄地の開墾にもっと目を向けてほしいと。法律も含め課題がたくさんあることを示唆してくれた。もっと深く、課題やその思いを取材したい。
 もっとある。鴨宮に住む女性で、いつだって楽しそうに笑っている。隣のおじいちゃんのゴミ出しを、いつも手伝っている。「ゴミ出しくらい、いつでもやるよ」って。ゴミつながりでいくと、私の家の前のゴミ出し場所は常にキレイで、いつも私よりも年上で細身のご婦人が重いブロックを片付けて、ネットをブロックの上に畳んでおいてくれている。畳まれたネットは、まるでシーツのように、四ツ端がそろえられている。頭が下がる。そんな「愛おしい中庸な日々」も取材したい。

そのプラットフォームは『フラットな、ゆるやか〜な繋がり』

 カイギは、このプラットフォームの話の展開で「小田原あるある話」へ。Webサイトはじめ、いろんなことがバラバラにやられていて、もったいないよね、みたいな話。勝手に「あるある」といって恐縮ではあるが、何度となく聞く話だ。
 そんな話を静かに遮るように、加藤さんが発した言葉がとても印象的であった。以下、ほぼ文字起こし状態で。
「農業一つとってみても、いろんなやり方があっていろんな考え方があって、いろんなスタイルがあって。そういう人たちを「まとめる」ってことではないと思うんですよね。お互いがお互いの存在を知り合っている、わかっている。何かあったら一緒に動いたりもするし、違う仲間の動きをみて、自分が励まされたりして、じゃあ俺もこれをやってみようかなと。そういうすごく、なんていうかな、『フラットな、ゆるやか〜〜な繋がり』だと思うんだよね。福祉の分野の人が農業のことを知り、農業の分野の人が福祉のことを知って、そこって一緒にできるよね、みたいなことが当然出てくると思うので、多分野でやることがとても大事。そして、全体として生きているための必要な要素がこの地域に十分あるじゃないと思ってもらえたらとってもいいと思うんだよなぁ。」

最初に「憲章」をつくるのはどうだろうか?

 カイギ後半で話にあがった「風の谷」。あえてここは、「シン・ニホン」著者、安宅氏の「風の谷」の話であるが、その「風の谷」には憲章がある。ルールとか約束とかそういった表現でなく、『フラットな、ゆるやか〜〜な繋がり』には「憲章」がいいのではないか。
 押し付けがましいが、マジで「シン・ニホン」を、40歳以上の大人に読んでもらいたい。312頁からでもいい。
 そして最後に後藤さんへ。既読なら失礼、「FACT FULNESS」。人類は良い方に向かって進んでいることを今一度確かめて、持ち前のパワーで、求心力となって進めてほしいなと思っているのは私だけではないと思う。
 今月は、原子力爆弾が投下された月。その原子力で発電をし、大きな事故が起こってしまった日本。原子力事業を柱にしている企業による直流送電の会社を買収したと最近ニュースで見た。交流送電は多くの無駄がでる。社会にとって良いと信じたことを選択してきた結果が今(もちろん数々の失敗はあるが)であり、さらに人類はよい未来をつくろうと進んでいることを私は信じている。(文/平澤芳栄)

 

【この記事について】この記事が2020年7月、この年の秋には「風の谷あしがら」のネットワークが立ち上がり、21年4月にはホームページも立ち上がり、ゆるやかな活動があしがらの地で繰り広げられています。個人的には、21年12月に行われた「シュタットベルケ勉強会」がすごく楽しかった。飯田市とか加賀市とか、参考になる市町村の視察に行きたいと思っています!ぜひ風の谷あしがらのホームページを覗いてみてください。(2022年1月記)

 

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