こゆるぎ こゆるぎ

元仕事仲間で小田原箱根ツアー

LINEで送る
Pocket

2021年5月神静民報「小動だより」

 

私、根に持つタイプです

 私は結構「根に持つ」タイプだ。一年ちょっと前のことであると記憶している。国府津のコワーキングBLENDのオープンで、ぜひ都心で仕事をする人たちに使ってほしいと思い、週次ミーティングの「GOOD&New」として紹介した。「小田原、別に用ないし、行かないしなぁ…」。まさか最初にこんな言葉を浴びさせられるとは思っていなかったので、ぐうの音も出ないまま、薄っぺらい説明をして、その日のZoomミーティングを終えた。終わった後、なんとも悔しいというか、自分の表現力のなさを嘆くというか、不愉快な気分で満ち溢れた。

 それから一年ちょっと経過した4月初旬。その当時のミーティングメンバーで小田原箱根2泊3日ツアーが実現した。

 

小田原に用がない人たちが来ることになったワケ

 小田原に用事がない人たちが来る背景としては「我が家事情」がトリガーとなった。かなり長くなるが時系列的に書くと…。

 両親の東京からの小田原移住は無くなり、娘は実習が忙しくなりほぼ伊勢原暮らし、夫も栄町の珈琲店二階で寝泊りすることがほとんどとなった。夫の営む平澤珈琲店はおかげ様で少しずつ軌道に乗り、夜中にパンを焼くなどで忙しくなってきたという訳だ。娘は、もやしと豆苗ばかり食べているせいか、ますますヒョロヒョロで薄っぺらくなり、彼女の食のサポートをしなければという思いが強くなった。同じく両親に関しても、一緒に住むことはできなくとも、仕事で東京に行くときくらいは、父の大好きな筑前煮などをつくってあげたい。小田原、伊勢原、東京、そしてワーケーション。そんな風に数年は身軽に多拠点で暮らすのもいいかもしれないと思い始めた。売るのはもったいないし、でも住宅ローンが残っているから人にも貸せない。ここで今一人で暮らすにも、現状の仕事を抱えたままだと、この家にふさわしい丁寧な暮らしができなくて、それがストレスになる。そこで、ルームシェアしてくれる人、もしくはワーケーション用で使ってくれる人を探すことにした。1年前に「小田原に用事がない」と言った人に、そんなこんなの話をしたところ、「我が家を見に来る」という話になり、だったら久々に元仕事仲間で小田原で集まろうということになり、3人を招いて小田原箱根2泊3日ツアーが実現した。

 「小田原に用事がない発言」の人は、仕事上で私の恩人であるが、冒頭にも申し上げた通り、私は結構「根に持つ」タイプだ。「絶対に小田原ファンにさせてやるぞ!」と思いながらニヤリと一人笑った。ちなみにルームシェアも、昨年から小田原ファンになった別の知人で話が進んでいる。

 

ツアーでファン化、大成功!

 「平澤さん、ちゃんとツアーの企画してくださいね!」と「小田原に用事がない発言」の人。「悪いですが、5泊くらいまで綿密な計画たてなくてもいけますから、私」と思いながらも素直に「はい」と答えながら、その時浮かんだコースをパーッとLINEに書き出した。仕事もこんなに素早くできればいいのに…。一瞬の作業であったが、とてつもなく綿密な計画を立てていたように映ったらしい。温泉に入りたいとかの要望も受け、最後はこんなスケジュールとなった。

旅のスケジュール

1日目

  • 富士屋ホテルで贅沢ランチ
  • たなかきょおこ氏個展(NARAYA CAFE)
  • 一夜城からの小田原城
  • 紹介したい人との談話(平澤珈琲店)
  • 家ご飯(魚国で舟盛り)

2日目

  • 早川港でブランチ
  • 天山で温泉
  • ヤオマサ中町店見学と買物
  • 家ご飯(あんこう鍋と鯛のアクアパッツァ)

3日目

  • 江之浦測候所
  • ミナカ小田原でランチ

 

【1日目】

 富士屋ホテルの外装、内装に感動の嵐。きょおこ氏と「小田原に用事ない発言」の人は間接的に知り合いであるがこの日が初対面。きっと近い将来、彼はきょおこ氏の絵のオーダーをするだろう。石垣山一夜城からの海は、普段海を見ていない人の心を確実につかむ。シャガの白い花が咲いている時期に私も初めて訪れることができた。小田原城もかなり時間をかけてじっくり歴史を学んでいた様子。家からも近いし、私の大好きな石垣山。派手なところではないが、自分の大好きな場所を共有して、気に入ってもらえるのはなんとも嬉しい。

【2日目】

 天山は身体と心を癒した。大涌谷とか泉質も数多くあることを話したが、天山のお湯、空間に酔いしれて、私の話はあまり耳に入っていなかったであろう。そして友人が遊びに来ると必ず連れていくヤオマサ中町店。「スーパーで感動」ってなかなかないが、案の定感動半端なかった。我が家ではヤオマサワンダーランドと呼んでいる。

【食べ物のこと】

 家ご飯初日は、魚国で舟盛りのお造り。そして2日目は小田原港水揚げのあんこう鍋と鯛のアクアパッツァ、生しらすだ。素材で勝負できるから、家ご飯であってもラクである。なんくる農園さんのカブを大いに気に入ったのは、野菜にはかなりうるさいヤツだ。最終日、朝もぎたての苺を八百屋で買っていくと「苺の概念が変わった」と。未熟なうちに収穫してしまう野菜や果物とは全く違う。都会では流通しない野菜や果物に移住当時私も感動していたが、最近は普通のことになっていたことに気づく。

【3日目】

 旅の最後は江之浦測候所。何も説明なしで連れて行ったので、「なんなんだ!ここは!」の驚きと感動の連続。実は私も初めて訪れた。屋内の美術館と違って、雲の位置など変数が多すぎて一秒たりとも同じ顔を持たないアートだ。いろんな顔を何度も見に行きたいと思った。そして市民として守らなければいけない場所だと勝手に思った。そしてなによりも、古代ローマ円形劇場写し観客席に座り、無になれる時間を過ごすことができた。

 

 石垣山一夜城、天山、江之浦測候所と行くところ行くところ、「小田原に用事がないはず」の人は、親を連れてきたいと何度も言っていた。私もそれはすごくわかる。親がもっと元気だったら、同じコースを両親と姉と巡りたい。「親を連れてきたい」という形容は、最高の誉め言葉であると今の私は思う。

3人の感想は…

++++++++++++++++++++++++++++++

とっても楽しい二泊三日でした!

小田原の魅力にどっぷり浸かって、思いっきりファンになってしまいました。次は子供と妻と親を連れていきますので、釣りやBBQなども楽しみにしています\(^o^)/

++++++++++++++++++++++++++++++

3日間ありがとうございました^ ^

小田原の新しい魅力がたくさん発見できたのと、ただただ純粋にリフレッシュできました!あとちょっと「ワーケーション重要だな」という出不精な僕にとって個人的な気づきもあり、早速今度BLENDさんの海小屋にワーケーションしに行きます^ ^

次は釣りにBBQ、もう今から楽しみです!本当に楽しい2泊3日をありがとうございました!

++++++++++++++++++++++++++++++

平澤さん宅でみんなでガヤガヤ出来たのが良かったです!手料理に勝るものはありませんね!色々なプランニングのおかげで本当に楽しかったです。

日頃インドアなのでめちゃくちゃアウトドアな3日間になりました。お陰様で今年1番笑って立っていられないほどでした(笑)。次は釣りですね🎣

++++++++++++++++++++++++++++++

 

来てもらえれば、絶対ファンになる!

 そうなのだ。来てもらえさえすれば、こっちのものなのだ。「小田原に用がないし行かないなぁ」と過去に発言した人が「思いっきりファン」になったのだ!どうしたらこの魅力と感動を伝えられるのだろうか。もう思考停止、誰か教えてくれ!状態。

 よく旅行などで、ガイドブックやWebサイトに載っている写真や文章が素敵すぎて、実際見てがっかりということがある。逆に、「マジ感動!」という風景をスマホに納めても、「え~、どうして写真になると感動が伝えられないのだろう」と思うことも多い。まず前者は、カメラマンとライター、編集者の腕なんだと思う。期待値を超えられないとガッカリするというという皮肉な「あるある」だ。今回のツアーは正直期待値がそこまで高くなかったことも成功要因の一つな気もする。後者は二次元と三次元の違いだけではなく、やはり五感が伴うかどうかで、変わってくるのだと思う。宗教やイデオロギーや貨幣など虚構に類する実態のない概念を操るホモサピエンスであっても、やはり動物だ。フィジカルで五感をフルに動かす体験ほど心が動いてしまう。江之浦測候所の写真を訪れる前に見た際も素晴らしいと思っていたが、実際に訪れたあとに写真を見る方が何千倍も心が動く。写真を見ると五感が刺激されるからだと思う。

 乱暴に結論、いや仮定をたててみる。この地を愛してこの地に住んでいる我々が、「日々の心の小動(こゆるぎ)」を、力まず書き記したり、写真に納めてポイと世界に広がるインフラ(つまりインターネット上)にあげていくことで、少しでも多くの人の目にとまり、期待値をヘタにあげずにこの地を訪れてもらえるのではないか。もちろんSEOとか意識できればなお良し。そんなこんなで一つのサイトを紹介したい。「風の谷あしがら」のページである。ちょっと覗いてもらうとわかるが、組織ではなく「ゆるやかなネットワーク」だ。フレームができあがり、いよいよコンテンツがこれからというところ。あしがらの人々が有機的につながっていくことをサポートするページでもあり、あしがら以外に住む人たちが「ちょっとここ、行ってみてもいいかな」と思うような、「日々の小動(こゆるぎ)」を表現できる場としてみんなで紡いでいけるといいなと思っている。(文/平澤芳栄)

風の谷あしがらのトップページ (https://kazenotani-ashigara.net/)。私は写真を見るだけで五感まで刺激される。

コメントは受け付けていません。

LINEで送る
Pocket

SHARE
PAGE TOP