こゆるぎ こゆるぎ

西湘に働き方の「新しい風」

LINEで送る
Pocket

2019年2月神静民報「小動だより」

 

国府津「BLEND」に注目!!

 

 「この惑星の働き方改革は時々バカっぽくみえる」……、働き方改革がCMにまでなる時代だ。厚生労働省は「テレワークから始める働き方改革」なんていうガイドブックまで出しているし、やはり、テレワークは、働き方改革の重要なファクターである。テレワークとは、ICT(情報通信技術)を活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方だ。普段通勤している会社でも自宅でもない、シェアオフィスやコワーキングスペースといった第三の場所、「サードプレイス」でのテレワークも徐々に浸透してきている。

 コーヒーのCMではないが、働き方が変わる「新しい風」が吹き抜けるようだった。それは国府津にこの4月にオープンする、コワーキングスペースを核にした「BLEND」。主宰している杉山大輔さんに話を聞いた。

 「現代人、特に働く人って、頭の中がもうパンパンじゃないですか。頭を空っぽにしてほしいのです。仕事をする上で大切なのは、頭の中を空っぽにすっきりする時間とクリエイティブに考える頭のバランス。ワークスタイルを少し変えるだけで、人生や仕事も変わると思うのです。都会にはない空間なので、都会の人にもぜひ、この場で仕事をしてほしい。そして、地域と都会がつながる場、つながって交わる場になっていけば」と杉山さん。「交わる・混ざる」というニュアンスで「BLEND」と命名。杉山さんの思いが詰まっている。

 1階には認可子ども保育園「もあなキッズ自然楽校」、2階にコワーキングスペース、3階にはキッチンも装備された多目的スタジオ。1階に子どもを預けて2階で働くことも夢ではない。国道沿いで国府津駅徒歩7分も嬉しい。利用者には自転車やSUPも貸し出しも。近くにはボルダリングジムもある。パンパンになった頭を空っぽにできそうだ。

 波の音に誘われるように歩くこと1分、ただただ海が広がる。「ここに椅子をもってきて仕事だって、打ち合わせだってできる。バーベキューだって。西湘バイパスがあるから多少の雨でも平気ですからねっ。」と微笑んで杉山さんは言う。

 

「BLEND」を主宰する、小田原出身、小田原在住の杉山大輔さん。

 

「頭を空っぽに」、これこそが西湘コワーキングスタイル

 「BLEND」のコワーキングスペースには大きなデスク3台に14席。小上がりには座卓とハンモック。DIYで作り上げられた空間は、都心のオフィスタワーにはない、どこかほっとする、地に足がついた感覚がある。昨今の都心のオフィスはとにかくカッコいい。でも、なんだか私は落ち着かない。セキュリティを通過して高速エレベーターで超高いところまで運ばる。あえて統一感のないチェアだったり、観葉植物だったり、オフィスっぽくない空間が広がっていたり。とはいえ、働きやすさが計算されつくした感じもして、「僕、生産性あげるためのオフィスです」とオフィスから自己紹介されそうな、圧倒される感じである。それに観葉植物の緑は、やはり自然ではない。一方、こちらは壁一面の大きな窓からは国府津山が見える。冬だし緑を感じることはないが、「自然のあるべき姿」がここにはある。もらい物や廃材でDIYされたためか、無理をしている感じがない。「はい、あなた、生産性をあげて仕事しなさいよ!」みたいなプレッシャーがない。

 都会にはもちろん、おしゃれでかっこいいコワーキングスペースやらシェアオフィスが今やたくさんある。しかし、やはりそこは、オフィスの延長にあるワークプレイスなのではないか?ザイマックス不動産総合研究所の「首都圏オフィスワーカー調査2018」では、「自宅に近い」ことがサードプレイスオフィスを利用する上で最も重視していることで、上位は「セキュリティ」、「無料Wi-Fi」、「プリンターなど事務機器」、「都心のターミナル駅に近い」など、ほぼ利便性を上げている。残念ながら「都心から離れた郊外エリアにある」は、最下位である。

 でも、これは逆にチャンス。サードプレイスでのテレワークに求めることが、Wi-Fiやセキュリティなどいつもと変わらない環境で仕事がしたい、さらに通勤の時間が短ければいいよね、みたいな発想しかしていないということだ。杉山さんの開口一番の言葉、「頭を空っぽにできる」という発想がない。「頭を空っぽにできる」、これこそが西湘コワーキングのスタイルではないか。仮にその日1時間働く時間を短くして、ちょっと長めの休憩時間の中で、「頭を空っぽにする」ことをするだけでも、そのあとの仕事に良い影響を与えることは想像に易い。オンとオフを勤務時間とプライベート時間にきっぱりと分けるほど、ナレッジワークは単純なものではない。

 でも~、海があって山がある環境って西湘だけではないのでは……という人もいるであろう。いやいや、私たちには都心からのアクセスの良さがある。新幹線に東海道線、小田急線。通勤圏であることは、まず物理的な移動に時間を取られない。何かトラブルが発生してもすぐに会社に戻ることだってできるのだ。新幹線で30分ちょっとというのは、まさに利便性の一つだ。

 都心ワーカーが西湘コワーキングすることで、同じスペースで仕事をしている私たち地域ワーカーとの交流もあり、何かが生まれる。都会から人とともに仕事までやってくることになったら……と少し皮算用かもしれないが、期待してしまう。

小上がりスペースにはソファーやハンモックも。

 

会社の福利厚生に西湘コワーキング

 まず、東京通勤組にお願いしたい。会社の福利厚生として、「BLEND」コワーキングの1席を月額15,000円で契約して、あなた自身が週1回利用する。そして他の日は、同僚が利用する。こんな自由な働き方をサポートする福利厚生があってもいいし、心の健康も含めた健康増進対策の一つとしても有効ではないか。「多くの人が利用してくれたら、空き家も多いし、もっと増やしていきたい。」と杉山さん。何度も仕事でリピートしてもらうことによって西湘の魅力が身近なものになり、「二拠点暮らし」などに発展してくれれば……と妄想してしまう。

 「BLEND」は先述のとおり今年4月にオープンする。ホームページ開設もこれからとのこと。オープン後もウォッチしていきたい。(文/平澤芳栄)

【3階バルコニーからの景色】都会のオフィスタワーからの富士山とは大きさが違う。これだけでも都会のオフィスワーカーは嬉しくなるはずだ。

コメントは受け付けていません。

LINEで送る
Pocket

SHARE
PAGE TOP