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2020、勝手に振り返り!

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2020年12月神静民報「小動だより」

 

想定外だらけの2020年

2020年も残すところ、一か月を切った。オリンピック・パラリンピックの開催中はどんな風になるんだろう?と生まれて初めての自国開催の夏季オリンピックを楽しみにしていた。明るいムードであけた2020年、まさかこんな一年になるとは思いもしなかった。家時間を楽しむ人もいれば、ちょっと息苦しい人も辛い人もいる。感染が原因で命を落とす方、そして間接な苦痛で命を絶つ人もいることをニュースで見ると本当に心が痛む。そして、クリティカルな仕事、エッセンシャルな仕事をされている方には、敬意と感謝しかできないが、従事されている方の心身の健康を心から願う。
 ワクチンという明るい光だって見えてきているし、私たち人間だってしぶとく、したたかにしなやかに新たな環境に適応して進化を続ける生物だ、前を向いていこう。年末ということもあり、2020年、私の中の勝手なトレンドで振り返ってみる。

 

ブロックチェーンで実現するデジタル地域通貨  

 「キターーーー!」

ようやくデジタル通貨の実証実験が来年日本でも行われるというニュース。中国で実証実験が始まったり、カンボジア中央銀行デジタル通貨「バコン」の正式運用がはじまったり、世界でいろいろな動きがある中、ようやく日本でも動き出しそうな予感。いやいや予感ではなく、今年7月には、会津大学でブロックチェーンを活用した日本初のトークン型デジタル地域通貨「Byacco/白虎」の正式運用が開始されている。カンボジアの「バコン」は日本企業ソラミツ株式会社の技術が使われており、「白虎」もその技術を活用している。

 〇〇ペイみたいなキャッシュレス決済はすでに多くあるのに、なぜにそんな興奮しているの?と言われそうであるが、その違いは「ブロックチェーンを活用したトークン型」であること。キャッシュレス決済は、私が「ピッ」と支払いをして、お店の人が「ありがとうございました!」と言っても、それはあくまでも「千円、店ID……」みたいな電文が決済事業者の管理センターにいくだけで、その時点でお店に千円が移動している訳ではない。お店側は、お金になるまで時間がかかるのである。電子決済された売上は多くは1か月ごとや半月ごとに締められて、一定の期間を経て銀行に入金される。

 

 一方「トークン型」はデジタルデータ自体がお金と同じ価値を持っていて、QRコードを読み取ったらすぐに価値が移動するので、もらった方はすぐに現金化もできるし、仕組み上、「転々流通」もできる。暗号資産(仮想通貨)のビットコインなども同じトークン型だが、このデジタル通貨は、円と連動するという資産の裏付けがあることにより、価格が一定であり決済や流通に適している。キャッシュレス決済はいわゆる「手数料ビジネス」であるが、ブロックチェーンのトークン型になることで、数々の中間コストが省かれ、コストも下がるとうメリットがあるはずだ。

 

 

 数年前、ブロックチェーンの存在を知り、その仕組み、可能性に大いに感銘をうけた。ブロックチェーン上で締結される契約「スマートコントラクト」や集中ではない「分散」された管理、改ざんできない仕組みは、格差の根源ともなる利権やら煩わしい手続きやら中間マージンというものからの解放であると私は認識し、その実用化を心待ちにしていた。ブロックチェーンは仮想通貨だけの仕組みではないことを強く言いたい。

 また、減価したり利用期限をつけられたり、「市場」経済以外の活動も加味できたり、地域通貨として多いに活用できると思う。少々妄想がふくらむが、今年話題になったベーシックインカムこそ、貯金を防ぐために「減価していくデジタル通貨じゃね?」と思ったり。

 デジタル通貨「推し」の理由をもう一つ。コロナ渦で非接触決済が推進されるが、大資本の決済事業者に手数料だけでなく私たちのデータまでもっていかれて、それが地域に全く残らないのはもったいない。デジタル地域通貨はその点でも有効だと思う。産業連関表的なものに落としたりお金の流れも把握できる。「地域でお金を回すことが大切」と皆さん口を揃えて言うが、「個人の意識」だけに任せるだけっていうのは、実際どうなのよと思う。そこに導く枠組みはやはり必要だと感じる。デジタル地域通貨では大手チェーン店の手数料に比べ地元のお店の手数料を安く、さらには無料にすることだってできる訳だし、プレミアム商品券だけでなく、行政の施策の幅も広がるのではないかと思う。小田原駅地下商店街ハルネの福引がスマホになる日もそう遠くはないのかもしれない。

 

 

二宮尊徳の「分度」とパッシブ投資と

 次はどちらかというと個人的なこと。今年はFIRE(経済的自立と早期リタイアの頭文字)に関する本が出たり、昨年からの老後二千万問題や投資教育が始まることもあり、貯金から投資へと流れる人も多かったのでは。今年の居神神社のおみくじで、「散財注意」と警告をうけていたものの、去年末から「やっちまった感」が半端ない。手元のお金があれよあれよと消えていった。

 仕事で知り合った資産運用のプロで、BTSのメンバーような風貌の男子に「どうして将来が不安かわかりますか?」と問われた。舐められまいと色々答えたが、「コントロールできていないからです!」とバッサリ。確かに、健康もお金も、きちんとコントロールを自分でできていないから漠然とした不安になってしまうのだ。

 ということで、家計簿(会社と同じ損益計算書と貸借対照表の形にするのが良いとBTS風男子)を作成し現実を知り、問題を把握し、対策を講じるということを試みた。まさに尊徳先生の「分度」である。とにかくこれが一番大切だということだ。

 また、彼の投資の基本は、「長期」と「分散」と「積み立て」で、インデックスファンドのパッシブ投資だ。複利の力で伸ばしていくモデルだからこそ、若いころから始めていなかったことを後悔するが、人生100年時代、まずは始めることが大切。子どもや孫いる人は、一緒にはじめるべし。22歳の娘の30年後はまだ52歳だ。仮にお金が必要で、かつそのとき株価が低かった場合でもすべてを利確するわけではない。必要な分だけを取り崩せばいいのだ。途中何があっても感情を1ミリもいれずに同額を積み立てていくことがパッシブ投資の基本で、アクティブ投資はパッシブ投資に勝てないと彼は言う。「お金の余裕ができてから投資をしよう」ではなく「分度」により、積立分を少しでも確保することが大切であり、それが「自譲」となり、「推譲」につながる。

 先にも述べたとおり、仮想通貨イコール、ブロックチェーンではない。株式投資イコール、ギャンブルでもない。私たちの年金積立も「国内外の債券、株式等により構成する基本ポートフォリオを定め、これに基づき運用」されているのだ。最後にひと言、自身の「ポートフォリオ」に農作やら釣りを加えてみたいと感じだ2020でもあった。(文/平澤芳栄)

 

【この記事について】2021年はNFTも盛り上がり、イーサはじめ暗号資産の価値もあがりました。一部イーロン・マスクの操作もあったような。結局ジャブジャブになった貨幣の行先となってしまって、投機として見られてしまうのも仕方がないのかもしれません。スマートコントラクトも、便利そうで不都合だったりするのかも。小田原もおまかせeマネーを使って地域デジタル通貨のサービスが期間限定みたいですが始まっています(2022年1月記)。

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